【映画】みなさん、さようなら【1度は見たい映画★★★★☆】
1981年、小学校で起きた事件がトラウマとなり、団地の外へは……
仕事中や勉強中、YouTube の BGM ではちょっと物足りない、
かと言って初めて見る映画ではガッツリと見てしまう。
そんな時、端蔵は何度も見て内容を知っている映画を BGM 代わりに流しています。
今回のおすすめは「青天の霹靂」です。
切なくて胸が熱くなる映画なのに、大泉洋と劇団ひとりが出ているだけでコメディタッチになり、つい笑顔になってしまう爽やかな映画です。
ストーリー
自分は特別な存在だと思っていた晴夫(大泉洋)。四畳半のアパートでレトルトカレーを頬張りながら、TVで人気急上昇の後輩マジシャンを眺める日々。目を背け続けてきた現実に“普通の日常”を手に入れることすら難しい、と気付き始めていた。
生まれてまもなく母に捨てられ、今では父とも絶縁状態。何をやっても上手くいかずに人生を諦めかけていた彼のもとに突然もたらされる父の訃報。
自分の惨めさが溢れ出し、生きることの難しさを痛感する晴夫。そこに青空から一筋の雷が放たれる!
そして晴夫は40年前の浅草にタイムスリップ。
そこで、若き日の父(劇団ひとり)と母(柴咲コウ)に出会う。そして、ひょんなことから父とコンビを組み、一躍人気マジシャンになっていく。生まれて初めて味わう満たされた日々。全てが順調に思えた矢先、明らかになる母の妊娠。
そして、ある決断を迫られることになる父。明らかになっていく家族の愛と想い。そして晴夫自身の出生の秘密。
果たして彼と家族を待ち受ける思いもよらぬ真実と結末とは――
キャスト
大泉洋
柴咲コウ
劇団ひとり
笹野高史
風間杜夫
スタッフ
監督・脚本 劇団ひとり
原作:劇団ひとり「青天の霹靂」(幻冬舎文庫)
脚本:橋部敦子
音楽:佐藤直紀 主題歌:Mr.Children「放たれる」(TOY’S FACTORY)
売れないマジシャンの轟晴夫(大泉洋)は昭和48年にタイムスリップし、芸人の父・正太郎(劇団ひとり)と出会い、父と母の事情を知る。
場末のバーで働いている晴夫は、客として訪れたお姉キャラでブレイク中の後輩・サワダにタメ口で挨拶され、モヤモヤとした感情を抱きつつも売れっ子のサワダを前に平静を装う。
サワダに紹介されたTVプロデューサーの斉藤へも、くだらない自尊心が邪魔をしてうまく自分を売り込むことができない。
病死したホームレスの父の遺品に紛れていた古い写真を見ながら「何のために生きてるのか、よくわからなくなってきた。生きるって難しいなぁ。・・・」と呟いた。
出演者の顔ぶれから分かる通り、切ない場面がありつつも全般的にお笑いを誘う要素が多く、気軽に見れる映画。
晴夫(大泉洋)と正太郎(劇団ひとり)のステージでの駆け引きは、実際のお笑いを見ている様で思わず吹き出してしまう。この2人のおかげで間延びするところも無く最後まで行ける。
昭和中期のセピア色の世界が広がり、この時代を懐かしく回想する人も、新鮮さに見とれる人もいるはず。
母・悦子(柴咲コウ)が正太郎を事ある毎にビンタし、その音がまた気持ち良いくらい響く。
うだつの上がらない面構えで、悲惨な役を上手く演じるところが見る側の共感を誘います。
一挙手一投足に悲愴感がまとわりついて、見ていて心地よい。
殴られたり首を絞められたりする際の表情がとても豊かで笑いを誘う。
マジックショーの場面はどつき漫才風で、大泉洋との掛け合いが秀逸。
場末のバーで働く晴夫のもとへ、おかまキャラでブレイクした後輩のサワダがTVプロデューサーと共にやってくる。売れっ子となったサワダから辛辣な言葉をかけられるも、先輩と言うだけの自尊心から平静を装う晴夫だが、同じ境遇のバーの同僚には隠すことなく自分の人生を自虐的に語る。
半額セールの時間帯になるまで目的の食品の側で待つ晴夫。半額シールが貼られたばかりの食品をさりげなく取ろうとするが、「今、半額になったところ!」と店員に声をかけられ、「(半額の物じゃなくても)どっちでもいいんだけどね。」と些細なことに見栄を張る。しかし店員は晴夫の呟きを全く聞いておらず作業に集中している。
周りには気にも止められていなくとも些細なことで見栄を張ってしまう、この一場面が晴夫の人生そのものを現している。
何もかもがアナログチックな昭和49年の浅草に飛ばされた晴夫は、雷門ホールで大衆演劇をする一座に転がり込む。
雷門ホールのステージで、悦子が誰かとも知らずにマジックショーのアシスタントをしてもらう。ユリゲラーの流行る前、芸は身を助けるが如くスプーン曲げは人々の喝さいを浴びる。
支配人の妙案により、晴夫と正太郎は「ペペとチン」の芸名で喧嘩マジックショーを繰り広げ、雷門ホールを笑いの渦に巻き込んだ。数か月も経たないうちに、浅草で二人のことを知らない人はいなくなった。
雷門ホールの電飾看板の裏で、晴夫と正太郎はマジックショーの手順を相談し、品数を増やしていった。
ここが踏ん張りどころと言う正太郎に、浅草で数百人の客を相手に満足するのではなく、何百万、何千万人を相手にするテレビで勝負してみないかと秘めた思いを口にする晴夫。
では、また~